2018年8月19日日曜日

絶対平和主義を掲げる巨大宗教団体「創価学会」が戦争の象徴・靖国神社「みたままつり」に提灯奉納!

創価学会が靖国神社「みたままつり」に提灯奉納! 公明党はもう安倍政権の軍国主義の抑止力にはなれない

2018.08.13



毎年、8月15日の終戦記念日が近くなると、安倍首相や現役閣僚らによる靖国神社の参拝の是非にスポットがあたる。安倍首相は2013年12月を最後に公には靖国参拝をしておらず、「今年の終戦の日も中国や韓国、米国との関係に配慮して参拝自体は見送り、玉串料奉納にとどめるだろう」(全国紙政治部記者)との見方が強いが、閣外から稲田朋美衆院議員や萩生田光一幹事長代行ら首相の側近が参拝するとも見られている。

他方で、最近、靖国をめぐっては、大きな話題にこそならなかったが波紋を広げていることがある。自民党と連立与党を組む公明党の母体である、あの創価学会が7月、靖国神社の「みたままつり」に提灯を奉納した、というのだ。

そもそもこの一件はネットでの目撃証言により発覚したもので、宗教業界紙の「仏教タイムス」も8月2日に報道。靖国の提灯群のなかに創価学会の提灯が存在したことを確認し、その写真を掲載した。暗がりに光る提灯には「創価学会」とだけ書かれており、地域の支部や部署が記されていないことから、一部学会員らの判断ではなく、学会本部による奉納である可能性が高いとみられる。

「仏教タイムス」は「池田大作名誉会長の長期不在が続き、原田稔会長はじめ現体制は自民党寄りになっている。それが靖国神社への提灯献灯に至ったのではないか」とのの学会ウォッチャーの見立てを紹介しながら、〈本尊、会則、会憲制定など創価学会は近年立て続けに変化を見せている。靖国神社への提灯奉納もその流れなのか〉と記事を結んでいる。

実際、そういうことなのだろう。言うまでもなく、靖国神社は単に祖先信仰や死者の霊を敬う場ではなく、大日本帝国が国民の戦意を煽るためにつくりあげたものであり、まさしく軍国主義の象徴だ。

他方、創価学会は「絶対平和主義」を掲げる巨大宗教団体。初代会長の牧口常三郎が治安維持法で投獄され獄死した歴史もあり、現在もホームページで〈「生命の尊厳」の確立に基づく「万人の幸福」と「世界の平和」の実現〉を学会の根本の目標と謳っている。

安倍政権が集団的自衛権の行使を容認し、安保法の成立を強行した際には、婦人部を中心として学会員による“安保反対デモ”が盛り上がりを見せたことも記憶に新しい。2014年12月には「SAPIO」(小学館)によるアンケートに対し、首相の靖国神社参拝について〈憲法20条の政教分離原則に抵触する恐れがある点、また近隣諸国への配慮という観点からも反対〉と回答していた。

その創価学会が、靖国神社のみたままつりに提灯を奉納したという事実を、当の学会員はどのように受け止めているのか。気になるところだが、その一方で、とりわけ第二次安倍政権発足以降の公明党の政治姿勢、そして、その間の学会上層部の変節を考えれば、靖国への提灯奉納はもはや、起きるべくして起きたと言うべきなのかもしれない。

周知の通り、安保法制にしても、公明党と創価学会執行部は、学会員の反発を押し切って安倍首相を支持。共謀罪などの問題法案に関しても徹底して自民党と歩調を合わせるなど、完全に“自民党ベッタリ”と言う以外のなにものでもない。

谷川派に支配された創価学会はもはや平和主義の宗教団体ではない
また、本サイトでも何度かレポートしてきたように、集団的自衛権行使容認を支持するにあたっては、創価学会内で、自民党との連立解消も視野に入れていた正木正明理事長(当時)と、集団的自衛権行使容認もやむなしと考える谷川佳樹副会長の派閥争いが大きな影響を与えたとされる。正木氏は創価大学出身で、教義に基づいて平和路線を説き、婦人部からの信任が厚い人物。一方、谷川副会長は、腹心の佐藤浩副会長とともに菅義偉官房長官とべったりで、この数年は露骨に安倍政権に擦り寄りを見せていた。

この権力闘争のなかで、数年前から勢力を拡大し、主流派となっていた谷川副会長派は主要ポストのほとんどを占めて大きな権力を掌握。2015年11月に強行された学会幹部人事で、正木氏が会長の諮問機関にすぎない「参議会」副議長という閑職に飛ばされたことが象徴するように、いまや学会上層部は、公明党による自民党の追従を積極支持する体制に、ほぼ一色となっているといわれる。

こうした経緯を考えてみても、やはり、これまで靖国神社に対しては一線を引いてきた「絶対平和主義」の創価学会が、その理念を翻したかのように反・平和そのものである靖国へ提灯を奉納したことは、まったく、不思議なことではないのだ。

むしろ、ここから推察されるのは、もはや学会上層部には、公明党の“第二自民党化”“安倍隷従”の姿勢への批判はおろか、それを牽制する能力すら残っていない、ということだろう。実際、池田大作名誉会長は2010年5月を最後に公の場に姿をあわらしていないが、聖教新聞等で池田名誉会長の名で出されるメッセージは本人ではなく、本部職員が制作していることが内部告発されている。

元創価学会職員が「池田名誉会長の文章は本部が代筆し政治利用」と告白
本サイトでもレポートしたように、2016年12月、『実名告発 創価学会』(金曜日)を著した野口裕介氏、滝川清志氏、小平秀一氏の元創価学会職員3名が日本外国特派員協会で会見を開き、安倍政権に擦り寄って平和路線を捨てた学会幹部の姿勢を批判したのだが、その中で、こんな告発も行っていた。

「毎日届く聖教新聞を見れば、池田(大作)先生からの長文のメッセージが連日掲載されていました。(しかし)私たちは本部職員が、師匠(=池田大作)のメッセージを代筆している実態を知っていました。ゆえに、本部職員が師匠の代わりにメッセージを代筆して、聖教新聞に掲載して、創価会員を欺くために、ご判断のできない師匠を利用していると思ったのです」(滝川氏)

つまり、本部が池田名誉会長の“ゴースト”としてメッセージなどを代筆し、その権威を利用しているという批判だ。しかも滝川氏らは、実際には池田名誉会長は「重病で、物事のご判断ができない状態なのではないか」とも指摘している。

もはや、学会の理念である「絶対平和主義」は骨抜きとなっているのだろう。公明党と学会上層部は何があっても安倍首相と自民党にベッタリで、学会員は選挙での「集票マシーン」としてひたすら利用されるだけ。これが実状ではないのか。

安倍首相がその本質である極右思想や歴史修正主義をあらわにし、日本を戦中に立ち戻らせるかのような法案を強行しようとするたびに、一部では公明党による“抑止論”が少なからずあがる。だが、大げさではなく、今回の靖国への提灯奉納があらわしているように、すでにそうした力はなさそうだ。安倍首相が秋の臨時国会での自民党改憲案提出を明言するなど、これから安倍政権は悲願の9条改悪を含む改憲へと具体的に向かう構えを見せているが、このままでは公明党に“ストッパー”の役割はいささかも期待できまい。

(編集部)

参照元 : LITERA