2014年11月10日月曜日

ネトウヨはなぜ馬鹿になったのか?

スペシャル対談 養老孟司×内田樹 日本人はなぜ、「バカ」になったのか——「ありのまま」「ネトウヨ」「ヘイトスピーチ」を大批判

2014年09月08日(月)



他人には攻撃的な言葉を投げつけるのに、自分のことは「ありのままで」と肯定する。すべてをカネで解決しようとし、立場を有利にするためにとにかく怒る。最近、ヘンな人が増えていませんか?

非理性的で攻撃的

内田 最近、「日本人の知性が劣化している」とよく言われます。つまり、日本人はバカになったんじゃないかと。確かに今、非理性的な推論をしたり、ひたすら攻撃的な言辞を弄する人たちがずいぶん目立ちます。

でも、僕は社会全体の知性の総量は変わってないと思うんです。従来なら知性が発動していたはずの領域が知性的でなくなっている。逆に、僕たちの知らないところが知性的に活性化している。そうして「知の分布の変化」が起きているんじゃないでしょうか。

養老 内田さんがよく引用する勉強しない高校生の話があるじゃないですか。成績の悪い生徒ほど、そのことに満足しているという。

内田 教育社会学者の苅谷剛彦さんが行った調査ですね。'79年と'97年に同じ高校でアンケートを取ったら、約20年の間に大きな変化があった。成績が低いことに達成感を感じる生徒集団が登場してきた。学校教育が求めるものを否定する自分に自尊感情を持つという、衝撃的な話でした。

養老 つまり、「自分はこれでいいんだ」と開き直って、「成績の低い自分が好き」と自己肯定してしまうんですね。おそらく、その傾向が強まっていて、そういう人たちが大人になっているんじゃないですかね。

内田 当時はまだ少数でしたが、さらに20年近く経っていますから、今調査をやれば確実にその集団は増大していると思います。

養老 さらに、個人が公の社会や共同体と切れちゃって孤立化している状況がある。例えば横浜市なんかは単身世帯が3分の1にもなるんですって。戦後の日本は、善意に言えば、自立した「市民」を作ろうとしてきたわけだけど、その結果生まれた今の社会は全く成熟せずに、「市民」が成り立たなくなっている。

内田 共同体や家族を解体し、市民を「アトム(原子)化」するのは、市場経済の要請です。アトム化すると、地域や親族間で相互に支援し合っていた家事や育児が商品化される。無償で利用できたサービスや資源をすべて市場で、貨幣で買わなければならなくなるので、消費活動は活発になります。GDPを増やすには市民を孤立させ、生きるために要るものをすべてカネで買わざるをえない仕組みにするのが最も合理的ですから。

養老 建て前としては「ありのままの自分」で行動していると言うけれども、実は一億総消費者になるために、個に分断されてしまっているわけですね。

内田 他者と共生する技術を持たない人たちが大量に出てきたのは、地域や親族などの共同体の解体の結果だと思います。

養老 僕たち年寄りは死んでいくから別にいいけど(笑)、若い人がこの先どうなるのか。正直、心配です。

内田 養老先生も先ほど言われたように「ありのままで」という言葉が流行しています。でも、「ありのまま」だけじゃ生きてゆけない。人間は「公」と「私」の葛藤の中でしか成長できない生き物です。大事なのは公私の「さじ加減」なんです。公共の福祉と自己利益を秤にかけて、適切な比率を見出す技術は場数を踏む以外に身につけようがない。

その経験知を備えた人が減りました。「誰かがやらなければいけない仕事なら、私がやる」という考え方をする人が一定数いないと社会は保たないんですけどね。

養老 一方で、そういう世界を小説で上手に捕まえているのが池井戸潤さんじゃないですか。『半沢直樹』の。

内田 そうなんですか。

養老 銀行や企業の中に、やはり公のルールというか、いわゆる倫理がきちんと守られていなければならないということが、一貫したメッセージになっている。現代版『水戸黄門』ですね。

内田 『大岡越前』にしても『暴れん坊将軍』にしても、公を代表する人物が、私利私欲で悪事をなす連中に正義の鉄槌を下すという物語は最近なくなったのかなと思っていましたけれど、やっぱりあるんですね。今それが求められているということは、高い公共性や職業倫理を持った専門家に、いい加減出てきてほしいという国民的願望の現れなんじゃないでしょうか。

「落としどころ」を探らない

養老 今は家族や共同体が消えちゃったので、「公」を遠すぎるところに求めるんですよね。自己評価やよりどころを求めて、いきなり直に「日本」につながろうとするから、変に歪んだナショナリズムに走り、ネトウヨになってしまう。

内田 生身の人間が語る思想は必ず「ノイズ」を含むもので、そう簡単に「すっきりしたもの」にはならない。でも、そのノイズがむしろ説得力になり、連帯の基礎になるんです。そういう生身の身体感覚が、今の政治運動には左右どちらにも欠落していますよね。

養老 そう考えると、今の日本人は幼稚になっている、つまり経験が不足したまま大人になっているんじゃないかと思いますね。

内田 未成熟であること、利己的であることのほうが、成熟した市民であるより利益が大きいと思っているからでしょう。すぐに怒ったり、キレたりするほうが、感情を抑制するよりも周囲から気づかってもらえる。子供のままのほうが大人になるより得だと思えば成熟の動機は損なわれます。

養老 政治家にもそういう人が増えてますね。

内田 ほんとです。異論と対話して落としどころを探ったり、誤りを指摘されて前言を訂正したりできる政治家がほとんどいません。だいたい感情的な反発しかしませんね。

安倍晋三首相がその典型ですけれど、彼だって自分が幼児的な対応をしていることはたぶんわかっていて、そのほうが政治的に有効だと思っている。あの人って対話能力ゼロでしょう。それ、人間としてはありえない。意識的に「対話しないキャラ」を採用しているんだと思います。

養老 そんな安倍首相がなぜ高い支持率を得ているのかというと、戦後民主主義的な価値観や教育が行き過ぎた部分を戻すという、揺り戻し的な面もあるんでしょうね。それが右傾化と言われる。

内田 安倍政権による日本の右傾化を、僕はあまり心配してないんです。変化が急激過ぎるから、反動も早いし、強い。安倍政権は想像以上に短命だと思います。経済政策の破綻をきっかけに、あっさり支持率が下がるんじゃないですか。

単純な見方ばかり

養老 経済指標は確固としたデータなので、ごまかせませんからね。

日本が右傾化しているというけれど、やっぱり中国や韓国の振る舞いにも問題があって、それへの「反応」がナショナリズムを押し上げている面はある。尖閣諸島や竹島をめぐる問題は、戦前だったら明らかに戦争になっているような状況でしょう。そうならずに済んできたのは、平和憲法のおかげであってね。

内田 そうですね。

養老 日本人というのは外交にせよ何にせよ、基本的に「反応」しかしないんですよ。「空気を読む」という言葉もあるように、自分から主体的に何かを提示するんじゃなく、その場の状況や起こったことに反応して動く。逆に、自分から動こうとすると損をする社会。出る杭は打たれる。

それに加えて面白いことに、日本社会の本音というのは常に、だいたい五分五分に落ち着くんですよ。自然とね。社会的な問題が起こったときに、賛成派と反対派が半々になる。僕は「内部の安定平衡」と呼んでいるんだけど、日本の場合、社会が安定平衡点に到達するのがすごく早い。

内田 上の世代がやって失敗したら、後続世代はその逆目に張るというのも日本的なソリューションですね。タイムスパンを広く取ると実はそれほど大きな変化はしていない。

養老 それが日本的な能率であり、日本社会が持っている、ある種の知恵ですね。

内田 安倍政権になって戦争のリスクは高まっていますが、どこかで日本社会の特性が歯止めになると思います。戦争とは戦争主体がいて、戦争目的、戦争計画があって行われるべきものですけれど、日本にはそれがありません。日本人の語る戦争はすべて「戦わざるを得ない状況に追い詰められて、やむなく応戦する」という筋で、最初から「後手に回っている」。これ、必敗の構造なんですよ。

養老 開戦の理由に主体性がないですからね。

内田 「世界平和を希求」と言っている以上、先制攻撃はできない。とすると、尖閣に中国軍が上陸して日本人に死傷者が出るような事態をただ待っている。いつ誰が戦争を始めるかという決定権を最初から仮想敵国に委ねている。こんな国に戦争はできません。

養老 主体を持たないというのは、主語を置かないのが日本語の基本構造になっているぐらい、日本の文化そのものです。アメリカ人はあんなに省略好きなのに、「I am」の「I」は絶対に省きません。「am」があれば「I」なんてなくても一人称だとわかるのに。

内田 「嫌韓・反中」の本が書店の棚を占領し、週刊誌も排外主義を煽っている。でも、実際に生身の中国人や韓国人を何人か知っているだけで、そんな単純な考え方はできないとわかる。僕の本は韓国でかなり翻訳されていて、講演会をすると何百人も韓国の読者が聴きにきますけれど、みんな本当にフレンドリーですよ。反日感情を感じたことなんか一度もないです。

養老 僕も気を付けているのは、中国と書かずに「北京政府」と書く。韓国と書かずに「朴(槿恵)政権」と区別する。政権が代われば変わるんですよ、ああいう国は。汚いヘイトスピーチをしている人たちは、それがわかっていない。メディアはメディアで「嫌韓・反中」と一括りにしてしまっているしね。

内田 韓国の人だって多くは自国政府の政策には批判的ですし。先日も韓国の読者がうちを訪ねて来たんです。日本旅行に来たついでに僕の道場を見たかったそうで。「韓国語版以外の著書も読みたいので日本語を勉強し始めました」って。ヘイトスピーチをする人たちには、そういう生身の経験がないんでしょう。

養老 結局、メディアの情報も世論も印象論や感想文ばかりなんですよ。データの裏付けがない「感想社会」。

佐世保の同級生殺人事件のような犯罪が起きると、すぐに「少年犯罪が増えている」と言うでしょう。

内田 実際には減っていますからね。

養老 自殺率もそう。統計的なデータに基づけば、自殺率も他の先進国と比べて特別高いとは言えない。メディアの役割は本来、こういう思い込みを検証して正すことなんですけどね。

内田 受信する側の問題もあります。情報が増えすぎた一方、個人が処理できる情報量には限度がある。だから結局受信する情報を自分に理解できる話、耳に入りやすい情報だけに限定する。ネット上にはジャンクな「オレ好み」の情報だけを蓄積した「情報通」が大量出現してますから。

養老 そうやって自分の中だけで純化し、「これこそ重要な問題だ」と確信を深めていく。新聞の一面になる記事や週刊誌の見出しだけを表面的に取得して、論理的な深掘りをしない。

内田 日本のメディアって世界的にも特殊なんですよ。読売新聞が1000万部、朝日が800万部でしょう。こんな部数の全国紙がある国なんか他にありませんから。国民の半数近くの政治的意見が朝日から産経までの社説の間に収まっていた。

養老 情報面でも日本は一億総中流だったわけですね。

内田 新聞の劣化とネットへの重心移動でその「総中流」が崩れて、情報においても階層化が始まっている。質のいい情報を選択的に送受信できる「情報強者」と、ジャンクな情報に曝される「情報弱者」に二極化している。「情報弱者」たちは自分たちこそ真実を知っていると素朴に信じ込んでいて、脊髄反射的に「感想」を垂れ流している。

声だけは大きい

養老 そして、「個人の感想だから」と責任逃れをする。

ネットは論文や資料を探すには便利だけど、僕はそれ以外では使いません。関係ないことはいくら頭に入れてもしょうがない。いくらネットの中を徘徊したって、現実はわかりませんよ。

内田 ネット世論は世の中を動かす力は弱いと思います。現実を動かすのは最終的には生身の身体です。実際に会って、声を聴いて、顔と顔を見合わせる場がなければ、運動なんか立ち上がりませんから。

養老 言葉というものは身体から出ているんだから、それを外したら意味がない。実体がないということ。

内田 匿名の人たちがネットで発信する言葉が過剰に攻撃的なのは、裏に無力感があるからなんですよ。どんな大声で叫んでもワンクリックで消されてしまう。自分の素顔も肉声も、どんな人間であるか誰一人知らないまま消されてしまう。その無力感のせいで、それだけ声が大きくなり、言葉づかいが激しくなる。

養老 人間にとって、一番便利な表現は怒りなんです。共同体の中で誰かが怒っていたらそれを鎮めるために、真っ先に対応される。これは生存戦略の一つで、赤ちゃんが泣くのと一緒なんだ。

内田 日本人全員が赤ちゃんのように駄々をこねたら、もうおしまいですけど、未成熟で幼稚な人間が増えている一方で、別のかたちの、これまで知られていなかった知的な運動も出現してきているように見えます。

養老 そうですね。日本人がこれからどう生きていけばいいか、僕の中で答えがあるわけではありません。ただこの国って、結構しぶとい。今いろんなNPOができたりして、厳しい現実に対して挑戦する人もたくさんいる。面白い時代になっていると思うんです。経済の分野などでも、データをきちんと見て、説得力のある議論ができる人材が現れています。

内田 これからの大きなビジョンを語れる人を評価する、風通しのいい環境を作りたいですね。

養老 「100のうち99は潰れる」とすぐネガティブに見るけど、「1つ当たればいい」というふうに考えてくれたら、新しい才能を活かせる場所が増えていくんじゃないでしょうか。

ようろう・たけし/'37年生まれ。解剖学者で東京大学名誉教授。'03年に『バカの壁』が大ベストセラーに。現在は京都国際マンガミュージアム館長、日本ゲーム大賞選考委員会委員長を務める。近著に『「自分」の壁』

うちだ・たつる/'50年生まれ。フランス現代思想、武道論、教育論などを専門とする研究者であり武道家で、合気道場兼学塾「凱風館」の館長を務める。神戸女学院大学名誉教授。近著に『憲法の「空語」を充たすために』

「週刊現代」2014年9月6日号より

参照元 : 週刊現代


最近のネトウヨは昔のネトウヨに比べて、かなりレベルが低く、頭が悪いと感じる。自分の意見に反するコメントをする者には、すぐに、「在日」、「アカ」、「反日サヨク」、「チョン」、「朝鮮コンパチ」、「エラ」、「キムチ」、「チョンモメン」などとレッテル貼りを始める。

ネトウヨの思考回路では、反原発=極左、反日サヨク、プロ市民、中核派、革マル派、朝鮮人、アカになるらしい・・・洗脳とは恐ろしいものである。



昔のネトウヨはもっと論理的な議論が出来たが、最近のネトウヨは中身空っぽで、知識がない。日本の歴史も知らないバカばかりである。狂ったように嫌韓ネタや民主党叩きしてるだけで、経済や国民の生活を脅かす悪政には知らんぷり。



<ネットユーザーの反応>
「バカな日本人が増えたんじゃないよ。今までは、バカの声なんか誰も取り上げなかったけど、ネットのせいで、バカでも情報発信が容易になったんだよ。ネトウヨなんかまさにそれ」

「ネトウヨがバカになったのではない。バカがネトウヨになるのだ」

「これだなw まともなネトウヨなんて見たことない」

「ネットで見かける右寄りの馬鹿をネトウヨと呼んでるので、利口なネトウヨというものは存在しない」

「右翼=馬鹿、左翼=気違い。昔から言われてる事」

「×ネットが馬鹿になった ○馬鹿がネット使うようになった」

「そのバカなネトウヨの主張に、たまには誰か論理的な反論を聞かせてくれよ」

「馬鹿の底辺がネトウヨになる」

「言論の自由があるからバカにするのは良いんだけど、バカにするだけってのはちょっと下品だね。一応そのバカなネトウヨにも主張してる事はあるんだからさ」

「ネトウヨに反論しても、在日認定が返ってくるだけなんだが」

「ネットの中では都合のいい記事しか読まないのでネトウヨが量産化される」

「リア充ならネトウヨには、ならないで。オレみたいにパーティーピーポーになるけどね。ネトウヨは、テンガが彼女らしいけどw」

「お前らネトウヨが普段どれだけバカを晒してるのか、もうちょっと自覚できんものかね」

「ネトウヨにとって自分らを批判する奴はみな左翼か在日なんだよな。まさにそういう単純思考こそネトウヨが馬鹿にされる理由なんだがw」

「ネトウヨってか、ちょっと自分の考えを整理しきれていないまま怒りを抱えて発言・行動しているような人が多い気がする」



2 件のコメント:

  1. ネットサポーターの条件にすら日本国籍を要求しやがるから自然と自民党ネットサ
    ポーターどもも日本国籍や日本民族しか誇れるものがありやがらねえ香具師
    どもがあつまりやがるんで愚かな無能どもしかいやがらねえんだろうよ

    袁きょうだいどもは身分や家柄や血筋に執拗に固執しやがって自民党は身分
    や国籍や民族に執拗に固執していやがるが逆に曹操や民進党はそういうもの
    には必要以上に拘っちゃあいねえ
    国籍民族や性別など生まれ持った属性でしか誇れるものがありやがらねえ愚
    かな一部の日本の面汚しども(ちなみに大多数の真っ当な日本人は国籍民族
    や性別以外にも誇れるものは沢山ある)にとっては都合のいい政党なんだろう

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