16年にサラリーマンの残業代がゼロになる 危険な残業代ゼロ制度で年収大幅ダウン
2015年4月8日 6時0分
いわゆる「残業代ゼロ法案」(労働基準法改正案)が4月3日に閣議決定され、今国会に提出された。与党が絶対安定多数を握る国会では法案成立が確実な情勢だ。成立すれば16年4月1日に施行される。
最大の柱は「高度プロフェッショナル制度」の導入と「企画業務型裁量労働制」の拡大だ。この2つの実現は経済界の長年の悲願だった。しかし、経営者には莫大な利益をもたらすが、どこから見てもサラリーマンには不利益どころか、長時間労働による健康被害を引き起こしかねない極めて“有害”な仕組みなのだ。
筆者は第一次安倍晋三政権で世論の反対を受けて廃案になった今回と同じ制度が、サラリーマンの生活にどのような悪影響を及ぼすのかを取材した。そしてアベノミクスの成長戦略の目玉として再登場したこの制度が現実味を帯びてきた中で、このままではサラリーマンが何も知らされないままに制度の対象にされてしまうことに危惧を感じ、政府・経済界の本当の狙いを知ってもらいたいと思い、このほど『2016年残業代がゼロになる』(光文社)という本を緊急出版した。
本稿では、なぜこれら2つの制度がサラリーマンにとって有害な仕組みなのかを説明したい。
●高度プロフェッショナル制度
高度プロフェッショナル制度は、管理職以外の一定のホワイトカラーのサラリーマンを労働時間規制の適用除外にするもので、アメリカのホワイトカラー・エグゼンプション(適用除外制度)の日本版だ。つまり、時間外、深夜・休日の残業代を一切支払わなくてもよいとする制度だ。
日本の労働時間規制は「1日8時間、週40時間」以上の労働を原則禁止している。それでも働かせたい場合は、時間外労働は25%以上の割増賃金(残業代)を支払うことを義務づけている。言うまでもなく、割増残業代というペナルティを使用者に課すことで、労働者の健康を守るためである。
では高度プロフェッショナル制度の対象になるのは誰か。「法律案要綱のポイント」(厚労省)では「高度の専門的知識等を必要とし、職務の範囲が明確で一定の年収要件(少なくとも1000万円以上)を満たす労働者」となっている。年収は「平均給与額の3倍を相当程度上回る」ことが法律に書き込まれ、具体的金額は法律より格下の省令で「1075万円以上」にする予定になっている。ちなみに法律に明記される「平均給与額の3倍」とは、厚生労働省が使う指標で計算すると936万円だ。
業務要件の「高度の専門的知識等を要する業務」が何を指すのかよくわからない。具体的な業務は省令で決めることになっている。法案の根拠となる厚労省審議会の報告書では例示として、金融商品開発、ディーリング、アナリストの業務を挙げている。しかし金融に限らず、あらゆる業界・企業には専門的知識が必要な業務がたくさんある。おそらく特定の業務に絞り込むことは難しいだろう。仮に当初は限定したとしても、法改正することなく政府の意向で随時変更できる「省令」で追加していくことは間違いない。
そうなると歯止めになるのは年収要件だ。当初案は年収も省令で定めることにしていたが、審議会の労働側委員の反対で法律に先の「3倍」を盛り込むことになった。これに苦虫を潰したのは使用者側委員だ。制度の導入を長年主張し続けてきた経団連は、第一次安倍政権の検討時期には年収400万円以上の人を対象にすべきだと主張していた。
また、経団連の榊原定征会長は「労働者の10%程度を対象にしてほしい」と記者会見で公言している。もちろん、時間規制から外れている管理職以外の10%であり、その数は約500万人だ。審議会でも中小企業の代表は「1000万円以上では中小企業では活用できない。もっと下げてほしい」と要望していた経緯もある。
経済界は時期を見て、いずれ法改正の陳情を繰り返してくることは間違いない。しかも法改正といっても「3倍」から「2倍」へと数字を変えるだけだ。そうなると624万円。中所得層のサラリーマンのほとんどが対象になることになる。
●準残業代ゼロ制度
ここまで読まれた20~30代の方は「自分たちは当面関係ない」と思うかもしれない。しかし、そうではない。“準残業代ゼロ制度”の「企画業務型裁量労働制」の拡大で、多くの若年世代が対象になる。
同制度は、会社が1日の労働時間を9時間と見なせば、法定労働時間の8時間を超える1時間分の割増手当は出るが、9時間を超えて働いても残業代が出ない仕組みだ(ただし、深夜・休日労働は割増賃金を支払う)。
わかりやすくいえば、ブラック企業で問題になっている基本給に残業代を組み込む「固定(定額)残業代制」を法律で制度化したものだ。現在、この制度を導入している企業はわずか0.8%にすぎない。これまで対象業務が「企画・立案・調査・分析」を一体で行う人に限られていた上に、労基署への報告義務など手続きが煩雑であるからだ。それを今回の改正では手続きを緩和し、さらに対象業務を増やした。追加業務は以下の2つだ。
(1)課題解決型提案営業
(2)事業の運営に関する事項について企画、立案調査および分析を行い、その成果を活用して裁量的にPDCAを回す業務
(1)はいわゆる「ソリューション営業」のこと。客のニーズを聞いてそれにふさわしい商品やサービスを販売する営業職だ。具体的には報告書では「店頭販売や飛び込み販売、ルートセールス」は入らないとしているが、要するにそれ以外の営業をしている人のほとんどが対象になる。
(2)はわかりにくいが、営業以外の事務系の業務を指す。審議会の報告書では「個別の製造業務や備品等の物品購入業務、庶務経理業務」は入らないとしている。一般にいうブルーカラーや定型業務は入らないということだが、それ以外の業務はほとんど入る可能性もある。
企画業務型裁量労働制は高度プロフェッショナル制度と違って、年収要件はない。ということは、入社2~3年目の営業職が入る可能性もあるのだ。ちなみに独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査(14年6月)によると、企画業務型裁量労働制の対象者の年収は300~500万円未満の人が13.3%も含まれている。300万円といえば、20代前半の平均年収に近い。
●100万円以上の残業代が消える
ではどのくらいの残業代が消えてなくなるのか、国の統計資料をもとに試算してみよう(詳しくは拙著をご覧いただきたい)。
13年度の労働者の月間平均残業時間14.5時間。しかし、総務省の労働力調査(12年)によると、週20時間以上も残業している30~39歳は20%もいる。月間では80時間以上になる。仮に50時間の残業をした場合、31歳の平均基本給から計算した月間残業代は、11万6900円。35歳は14万1100円。39歳は16万9350になる。年収換算では、以下の金額になる。
・31歳:140万2800円
・35歳:169万3200円
・39歳:203万2200円
これを見ても、いかにサラリーマンの生活が残業代に支えられているかがよくわかる。もちろん、企画業務型裁量労働制の対象になれば、みなし労働時間を何時間に設定するかで違う。仮に8時間を超える9時間に設定すれば、1時間分の割増手当が出る。それでも月に約22時間分だ。50時間残業している人にとっては、上の金額の半分以上が消えてなくなることになるのだ。もし、これだけの収入が減れば、暮らしは当然苦しくなるだろう。
一方、経営側にとっては大幅な人件費の削減につながる。一般労働者の所定内賃金約30万円、月間平均残業時間14時間で計算すると、一人当たりの年間残業代は40万6350円。これに経済界が要望している労働者の10%である500万人を乗じると、全体で年間2兆円以上の削減効果があるのだ。
●世界的に見てもいびつな仕組み
実は今回の法案が成立すると、法体系上も、世界的に見てもあまりにもいびつな仕組みというしかないものだ。
高度プロフェッショナル制度という専門職の時間規制を外す制度は、世界でアメリカに次いで日本が2番目の導入国となる。業務の定義が極めて曖昧であるのに、対象者になると労働時間規制の適用除外となり、休日・深夜を含む時間外のすべての割増賃金が支払われなくなるという厳格な処遇が待っている。
しかも、もともとの適用除外者であった「管理職」には、深夜の割増賃金の支払い義務は残っているのだ。つまり、同じ正社員でも課長だと夜10時以降は残業代が出るのに、高度プロフェッショナル社員には出ないという矛盾が発生する。アメリカのホワイトカラー・エグゼンプションでも、こうした特例は存在しない。エグゼンプションの母国アメリカのオバマ大統領は「何百万人もの残業代や最低賃金の権利が保護されていない」と述べて、14年3月に労働長官に見直しを指示している。近いうちに見直し案が示される予定だ。それに逆行するかのように、日本は労働者に犠牲を強いる法案を成立させようとしている。
●日本中の労働現場で混乱必至
また、企画業務型裁量労働制自体はもともと完全な時間規制を外すエグゼンプションの中間形態として、経済界の要望で実現したものだが、経団連はいずれ裁量労働制をエグゼンプションと統一化しようとしていた(拙著を参照)。そもそもこんな制度が存在するのは世界で日本だけである。にもかかわらず、今回は対象業務が大幅に拡大される。
今後日本の企業には、対象業務の範囲が区別しがたい高度プロフェッショナル社員と企画業務型裁量労働制社員が並立することになる。だが、法制的な位置づけが曖昧な制度であっても、企業にとっては社員を「管理職」にするのか、「高度プロフェッショナル」にするのか、「裁量労働制」にするのか、思いのままにできるメリットがある。
このような抜け道の多い中途半端な状態で導入が進めば、いずれ日本中の労働現場で矛盾が噴き出し、混乱するのは必至だろう。それは取り締まる側の労働基準監督署も同じだ。
そして最も危惧される点は、法令の矛盾に翻弄され、犠牲を強いられるのは常にサラリーマンだということだ。
(文=溝上憲文/労働ジャーナリスト)
参照元 : ビジネスジャーナル
反発が多かったため一度見送ったのに、再び閣議決定する国賊安倍政権。国民を意地でも奴隷にしたいようだ。 最初は年収1075万円以上の働き手とハードルを上げて法案を通した後、すぐにハードルを下げ、改正する手口。
その証拠に安倍自民党に献金している経団連は残業代ゼロの対象を年収400万円以上にするべきだと言っている。
残業代ゼロ制度 過労を助長しかねない(かつて経団連は「年収400万円以上」を提言していた)
国民の大半が反対ですよね?労働基準監督官の53.5%が反対してるのに強引に閣議決定する民意無視の安倍内閣。
さらに腹が立つのが、残業代ゼロは原則として公務員は対象ではない。
一般の国民だけを奴隷化して公務員だけ生き残るつもりか?トンデモない公務員特権です!
2015年4月8日 6時0分
いわゆる「残業代ゼロ法案」(労働基準法改正案)が4月3日に閣議決定され、今国会に提出された。与党が絶対安定多数を握る国会では法案成立が確実な情勢だ。成立すれば16年4月1日に施行される。
最大の柱は「高度プロフェッショナル制度」の導入と「企画業務型裁量労働制」の拡大だ。この2つの実現は経済界の長年の悲願だった。しかし、経営者には莫大な利益をもたらすが、どこから見てもサラリーマンには不利益どころか、長時間労働による健康被害を引き起こしかねない極めて“有害”な仕組みなのだ。
筆者は第一次安倍晋三政権で世論の反対を受けて廃案になった今回と同じ制度が、サラリーマンの生活にどのような悪影響を及ぼすのかを取材した。そしてアベノミクスの成長戦略の目玉として再登場したこの制度が現実味を帯びてきた中で、このままではサラリーマンが何も知らされないままに制度の対象にされてしまうことに危惧を感じ、政府・経済界の本当の狙いを知ってもらいたいと思い、このほど『2016年残業代がゼロになる』(光文社)という本を緊急出版した。
本稿では、なぜこれら2つの制度がサラリーマンにとって有害な仕組みなのかを説明したい。
●高度プロフェッショナル制度
高度プロフェッショナル制度は、管理職以外の一定のホワイトカラーのサラリーマンを労働時間規制の適用除外にするもので、アメリカのホワイトカラー・エグゼンプション(適用除外制度)の日本版だ。つまり、時間外、深夜・休日の残業代を一切支払わなくてもよいとする制度だ。
日本の労働時間規制は「1日8時間、週40時間」以上の労働を原則禁止している。それでも働かせたい場合は、時間外労働は25%以上の割増賃金(残業代)を支払うことを義務づけている。言うまでもなく、割増残業代というペナルティを使用者に課すことで、労働者の健康を守るためである。
では高度プロフェッショナル制度の対象になるのは誰か。「法律案要綱のポイント」(厚労省)では「高度の専門的知識等を必要とし、職務の範囲が明確で一定の年収要件(少なくとも1000万円以上)を満たす労働者」となっている。年収は「平均給与額の3倍を相当程度上回る」ことが法律に書き込まれ、具体的金額は法律より格下の省令で「1075万円以上」にする予定になっている。ちなみに法律に明記される「平均給与額の3倍」とは、厚生労働省が使う指標で計算すると936万円だ。
業務要件の「高度の専門的知識等を要する業務」が何を指すのかよくわからない。具体的な業務は省令で決めることになっている。法案の根拠となる厚労省審議会の報告書では例示として、金融商品開発、ディーリング、アナリストの業務を挙げている。しかし金融に限らず、あらゆる業界・企業には専門的知識が必要な業務がたくさんある。おそらく特定の業務に絞り込むことは難しいだろう。仮に当初は限定したとしても、法改正することなく政府の意向で随時変更できる「省令」で追加していくことは間違いない。
そうなると歯止めになるのは年収要件だ。当初案は年収も省令で定めることにしていたが、審議会の労働側委員の反対で法律に先の「3倍」を盛り込むことになった。これに苦虫を潰したのは使用者側委員だ。制度の導入を長年主張し続けてきた経団連は、第一次安倍政権の検討時期には年収400万円以上の人を対象にすべきだと主張していた。
また、経団連の榊原定征会長は「労働者の10%程度を対象にしてほしい」と記者会見で公言している。もちろん、時間規制から外れている管理職以外の10%であり、その数は約500万人だ。審議会でも中小企業の代表は「1000万円以上では中小企業では活用できない。もっと下げてほしい」と要望していた経緯もある。
経済界は時期を見て、いずれ法改正の陳情を繰り返してくることは間違いない。しかも法改正といっても「3倍」から「2倍」へと数字を変えるだけだ。そうなると624万円。中所得層のサラリーマンのほとんどが対象になることになる。
●準残業代ゼロ制度
ここまで読まれた20~30代の方は「自分たちは当面関係ない」と思うかもしれない。しかし、そうではない。“準残業代ゼロ制度”の「企画業務型裁量労働制」の拡大で、多くの若年世代が対象になる。
同制度は、会社が1日の労働時間を9時間と見なせば、法定労働時間の8時間を超える1時間分の割増手当は出るが、9時間を超えて働いても残業代が出ない仕組みだ(ただし、深夜・休日労働は割増賃金を支払う)。
わかりやすくいえば、ブラック企業で問題になっている基本給に残業代を組み込む「固定(定額)残業代制」を法律で制度化したものだ。現在、この制度を導入している企業はわずか0.8%にすぎない。これまで対象業務が「企画・立案・調査・分析」を一体で行う人に限られていた上に、労基署への報告義務など手続きが煩雑であるからだ。それを今回の改正では手続きを緩和し、さらに対象業務を増やした。追加業務は以下の2つだ。
(1)課題解決型提案営業
(2)事業の運営に関する事項について企画、立案調査および分析を行い、その成果を活用して裁量的にPDCAを回す業務
(1)はいわゆる「ソリューション営業」のこと。客のニーズを聞いてそれにふさわしい商品やサービスを販売する営業職だ。具体的には報告書では「店頭販売や飛び込み販売、ルートセールス」は入らないとしているが、要するにそれ以外の営業をしている人のほとんどが対象になる。
(2)はわかりにくいが、営業以外の事務系の業務を指す。審議会の報告書では「個別の製造業務や備品等の物品購入業務、庶務経理業務」は入らないとしている。一般にいうブルーカラーや定型業務は入らないということだが、それ以外の業務はほとんど入る可能性もある。
企画業務型裁量労働制は高度プロフェッショナル制度と違って、年収要件はない。ということは、入社2~3年目の営業職が入る可能性もあるのだ。ちなみに独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査(14年6月)によると、企画業務型裁量労働制の対象者の年収は300~500万円未満の人が13.3%も含まれている。300万円といえば、20代前半の平均年収に近い。
●100万円以上の残業代が消える
ではどのくらいの残業代が消えてなくなるのか、国の統計資料をもとに試算してみよう(詳しくは拙著をご覧いただきたい)。
13年度の労働者の月間平均残業時間14.5時間。しかし、総務省の労働力調査(12年)によると、週20時間以上も残業している30~39歳は20%もいる。月間では80時間以上になる。仮に50時間の残業をした場合、31歳の平均基本給から計算した月間残業代は、11万6900円。35歳は14万1100円。39歳は16万9350になる。年収換算では、以下の金額になる。
・31歳:140万2800円
・35歳:169万3200円
・39歳:203万2200円
これを見ても、いかにサラリーマンの生活が残業代に支えられているかがよくわかる。もちろん、企画業務型裁量労働制の対象になれば、みなし労働時間を何時間に設定するかで違う。仮に8時間を超える9時間に設定すれば、1時間分の割増手当が出る。それでも月に約22時間分だ。50時間残業している人にとっては、上の金額の半分以上が消えてなくなることになるのだ。もし、これだけの収入が減れば、暮らしは当然苦しくなるだろう。
一方、経営側にとっては大幅な人件費の削減につながる。一般労働者の所定内賃金約30万円、月間平均残業時間14時間で計算すると、一人当たりの年間残業代は40万6350円。これに経済界が要望している労働者の10%である500万人を乗じると、全体で年間2兆円以上の削減効果があるのだ。
●世界的に見てもいびつな仕組み
実は今回の法案が成立すると、法体系上も、世界的に見てもあまりにもいびつな仕組みというしかないものだ。
高度プロフェッショナル制度という専門職の時間規制を外す制度は、世界でアメリカに次いで日本が2番目の導入国となる。業務の定義が極めて曖昧であるのに、対象者になると労働時間規制の適用除外となり、休日・深夜を含む時間外のすべての割増賃金が支払われなくなるという厳格な処遇が待っている。
しかも、もともとの適用除外者であった「管理職」には、深夜の割増賃金の支払い義務は残っているのだ。つまり、同じ正社員でも課長だと夜10時以降は残業代が出るのに、高度プロフェッショナル社員には出ないという矛盾が発生する。アメリカのホワイトカラー・エグゼンプションでも、こうした特例は存在しない。エグゼンプションの母国アメリカのオバマ大統領は「何百万人もの残業代や最低賃金の権利が保護されていない」と述べて、14年3月に労働長官に見直しを指示している。近いうちに見直し案が示される予定だ。それに逆行するかのように、日本は労働者に犠牲を強いる法案を成立させようとしている。
●日本中の労働現場で混乱必至
また、企画業務型裁量労働制自体はもともと完全な時間規制を外すエグゼンプションの中間形態として、経済界の要望で実現したものだが、経団連はいずれ裁量労働制をエグゼンプションと統一化しようとしていた(拙著を参照)。そもそもこんな制度が存在するのは世界で日本だけである。にもかかわらず、今回は対象業務が大幅に拡大される。
今後日本の企業には、対象業務の範囲が区別しがたい高度プロフェッショナル社員と企画業務型裁量労働制社員が並立することになる。だが、法制的な位置づけが曖昧な制度であっても、企業にとっては社員を「管理職」にするのか、「高度プロフェッショナル」にするのか、「裁量労働制」にするのか、思いのままにできるメリットがある。
このような抜け道の多い中途半端な状態で導入が進めば、いずれ日本中の労働現場で矛盾が噴き出し、混乱するのは必至だろう。それは取り締まる側の労働基準監督署も同じだ。
そして最も危惧される点は、法令の矛盾に翻弄され、犠牲を強いられるのは常にサラリーマンだということだ。
(文=溝上憲文/労働ジャーナリスト)
参照元 : ビジネスジャーナル
反発が多かったため一度見送ったのに、再び閣議決定する国賊安倍政権。国民を意地でも奴隷にしたいようだ。 最初は年収1075万円以上の働き手とハードルを上げて法案を通した後、すぐにハードルを下げ、改正する手口。
その証拠に安倍自民党に献金している経団連は残業代ゼロの対象を年収400万円以上にするべきだと言っている。
残業代ゼロ制度 過労を助長しかねない(かつて経団連は「年収400万円以上」を提言していた)
「残業代ゼロ」法案を閣議決定 裁量労働制も拡大
2015年4月3日(金)11時50分配信
政府は3日、労働基準法など労働関連法の改正案を閣議決定した。長時間働いても残業代や深夜手当が支払われなくなる制度の新設が柱だ。政府の成長戦略の目玉の一つだが、労働組合などからは「残業代ゼロ」と批判されている。2016年4月の施行をめざす。
新しい制度の対象は、金融商品の開発や市場分析、研究開発などの業務をする年収1075万円以上の働き手。アイデアがわいた時に集中して働いたり、夜中に海外と電話したりするような働き手を想定しており、「時間でなく成果で評価する」という。
対象者には、①年104日の休日②終業と始業の間に一定の休息③在社時間などに上限――のいずれかの措置をとる。しかし働きすぎを防いできた労働時間の規制が外れるため、労組などは「働きすぎを助長し過労死につながりかねない」などと警戒している。
改正案には、あらかじめ決めた時間より長く働いても追加の残業代が出ない「企画業務型裁量労働制」を広げることも盛り込んだ。これまでは企業の経営計画をつくる働き手らに限っていたが、「課題解決型の営業」や「工場の品質管理」業務も対象にする。
厚生労働省によると、企画業務型の裁量労働制で働く人は推計で約11万人いる。労働時間は1日8時間までが原則だが、制度をとりいれている事業場の45・2%で実労働時間が1日12時間を超える働き手がいる。対象の拡大で、働きすぎの人が増えるおそれがある。
参照元 : 朝日新聞
政府は3日、労働基準法など労働関連法の改正案を閣議決定した。長時間働いても残業代や深夜手当が支払われなくなる制度の新設が柱だ。政府の成長戦略の目玉の一つだが、労働組合などからは「残業代ゼロ」と批判されている。2016年4月の施行をめざす。
新しい制度の対象は、金融商品の開発や市場分析、研究開発などの業務をする年収1075万円以上の働き手。アイデアがわいた時に集中して働いたり、夜中に海外と電話したりするような働き手を想定しており、「時間でなく成果で評価する」という。
対象者には、①年104日の休日②終業と始業の間に一定の休息③在社時間などに上限――のいずれかの措置をとる。しかし働きすぎを防いできた労働時間の規制が外れるため、労組などは「働きすぎを助長し過労死につながりかねない」などと警戒している。
改正案には、あらかじめ決めた時間より長く働いても追加の残業代が出ない「企画業務型裁量労働制」を広げることも盛り込んだ。これまでは企業の経営計画をつくる働き手らに限っていたが、「課題解決型の営業」や「工場の品質管理」業務も対象にする。
厚生労働省によると、企画業務型の裁量労働制で働く人は推計で約11万人いる。労働時間は1日8時間までが原則だが、制度をとりいれている事業場の45・2%で実労働時間が1日12時間を超える働き手がいる。対象の拡大で、働きすぎの人が増えるおそれがある。
参照元 : 朝日新聞
国民の大半が反対ですよね?労働基準監督官の53.5%が反対してるのに強引に閣議決定する民意無視の安倍内閣。
「残業代ゼロ制度」、労働基準監督官の53.5%が「反対」--全労働調査
2015/04/0
全労働省労働組合はこのほど、労働基準監督官を対象に実施した「緊急アンケート」の結果を発表した。それによると、専門職に就き、高収入を得ている人を労働基準法の時間規制から外すいわゆる「残業代ゼロ制度」について、過半数が「反対」と答えたことがわかった。
調査期間は2014年11月、有効回答は20~60代の労働基準監督官1,370人。
一定の年収要件を満たし、職務範囲が明確で高度な職業能力を有する労働者について、時間ではなく成果で評価するというニーズに応えるため、労働時間規制を適用除外する「新たな労働時間制度(残業代ゼロ制度)」を導入することをどう思うかと尋ねたところ、53.5%が「反対」と回答。一方、「賛成」は13.3%、「どちらとも言えない」は33.1%だった。
同制度が導入された場合の影響については、「長時間・過重労働がいっそう深刻化する」が圧倒的に多く73.4%。反対に「長時間労働が抑制され、効率的な働き方が広がる」は4.2%にとどまり、「わからない」は22.4%となった。
労働時間規制について必要と考える対策を聞くと、「実労働時間の把握義務の法定化」が最も多く72.3%。以下、「労働基準監督官の増員」が62.2%、「管理監督者や裁量労働制等にかかる規定の明確化」が60.7%、「時間外・休日労働にかかる上限規制の導入」が45.5%と続いた。
参照元 : マイナビニュース
全労働省労働組合はこのほど、労働基準監督官を対象に実施した「緊急アンケート」の結果を発表した。それによると、専門職に就き、高収入を得ている人を労働基準法の時間規制から外すいわゆる「残業代ゼロ制度」について、過半数が「反対」と答えたことがわかった。
調査期間は2014年11月、有効回答は20~60代の労働基準監督官1,370人。
一定の年収要件を満たし、職務範囲が明確で高度な職業能力を有する労働者について、時間ではなく成果で評価するというニーズに応えるため、労働時間規制を適用除外する「新たな労働時間制度(残業代ゼロ制度)」を導入することをどう思うかと尋ねたところ、53.5%が「反対」と回答。一方、「賛成」は13.3%、「どちらとも言えない」は33.1%だった。
同制度が導入された場合の影響については、「長時間・過重労働がいっそう深刻化する」が圧倒的に多く73.4%。反対に「長時間労働が抑制され、効率的な働き方が広がる」は4.2%にとどまり、「わからない」は22.4%となった。
労働時間規制について必要と考える対策を聞くと、「実労働時間の把握義務の法定化」が最も多く72.3%。以下、「労働基準監督官の増員」が62.2%、「管理監督者や裁量労働制等にかかる規定の明確化」が60.7%、「時間外・休日労働にかかる上限規制の導入」が45.5%と続いた。
参照元 : マイナビニュース
さらに腹が立つのが、残業代ゼロは原則として公務員は対象ではない。
欧米と逆行 公務員は適用外「残業代ゼロ」のマヤカシ
2014年6月8日
アベノミクスの成長戦略に盛り込まれる可能性が高い「ホワイトカラー・エグゼンプション」。サラリーマンの残業代をゼロにしてしまう、とんでもないシロモノだ。「時間」ではなく「成果」に対して、賃金が払われることになる。ノルマを果たすために延々と働くことになり、過労死が急増するのは間違いない。
ところが、公務員には適用しないことが分かった。6日国会で民主党の山井和則議員が「残業代ゼロは公務員も対象なのか」と質問したら、「原則として公務員は対象ではない」と内閣官房が明言したのだ。
安倍政権はホワイトカラー・エグゼンプションを、「残業しても残業代が出ないので労働時間が減る」「生産性が上がる」「成果さえ上げればいいので自由な働き方が可能になる」などと、いいことずくめのように喧伝(けんでん)して導入しようとしている。それほど素晴らしい「労働制度」だと言い張るなら、まず「公務員」に適用すればいい。なのに、身内の公務員は適用外、残業代を払うというのだから、フザケるにも程がある。
■サラリーマンいじめ
「安倍政権が指摘するように、日本人の“生産性”が低いのは事実です。“生産性”だけを比較するとOECD加盟国のなかで19位。長時間働いている。でも、日本人の残業時間が長いのは、残業代があるからではありません。むしろ、欧米に比べて残業代は安い。日本は残業の割増賃金が25%なのに対し、アメリカは50%、ヨーロッパには75%の国もある。
つまり、欧米では長時間働かせると残業代が多額になるので、とにかく時間内に仕事が終わるように企業が工夫せざるを得ない。それが高い“生産性”に結びついているのです。もし、“生産性”を上げたいなら、日本も残業代を75%にすればいい。残業代をゼロにしようなんて、どうかしています」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)
まずは、公務員と国会議員こそ“成果主義”にすべきだ。
参照元 : 日刊ゲンダイ
アベノミクスの成長戦略に盛り込まれる可能性が高い「ホワイトカラー・エグゼンプション」。サラリーマンの残業代をゼロにしてしまう、とんでもないシロモノだ。「時間」ではなく「成果」に対して、賃金が払われることになる。ノルマを果たすために延々と働くことになり、過労死が急増するのは間違いない。
ところが、公務員には適用しないことが分かった。6日国会で民主党の山井和則議員が「残業代ゼロは公務員も対象なのか」と質問したら、「原則として公務員は対象ではない」と内閣官房が明言したのだ。
安倍政権はホワイトカラー・エグゼンプションを、「残業しても残業代が出ないので労働時間が減る」「生産性が上がる」「成果さえ上げればいいので自由な働き方が可能になる」などと、いいことずくめのように喧伝(けんでん)して導入しようとしている。それほど素晴らしい「労働制度」だと言い張るなら、まず「公務員」に適用すればいい。なのに、身内の公務員は適用外、残業代を払うというのだから、フザケるにも程がある。
■サラリーマンいじめ
「安倍政権が指摘するように、日本人の“生産性”が低いのは事実です。“生産性”だけを比較するとOECD加盟国のなかで19位。長時間働いている。でも、日本人の残業時間が長いのは、残業代があるからではありません。むしろ、欧米に比べて残業代は安い。日本は残業の割増賃金が25%なのに対し、アメリカは50%、ヨーロッパには75%の国もある。
つまり、欧米では長時間働かせると残業代が多額になるので、とにかく時間内に仕事が終わるように企業が工夫せざるを得ない。それが高い“生産性”に結びついているのです。もし、“生産性”を上げたいなら、日本も残業代を75%にすればいい。残業代をゼロにしようなんて、どうかしています」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)
まずは、公務員と国会議員こそ“成果主義”にすべきだ。
参照元 : 日刊ゲンダイ
一般の国民だけを奴隷化して公務員だけ生き残るつもりか?トンデモない公務員特権です!
<ネットユーザーの反応>
「残業で稼いでた奴が損するようになるんだろ?メシウマじゃん」
「年収1000万超えのマスコミ社員だけが悲鳴(笑)」
「公務員のカラ残業対策だろこれw」
「残業で仕事してますアピールする奴が一番ウザい。早く帰れ」
「定時で帰れ。組合が頑張って全員帰らせろ」
「安倍ちゃんGJ 」
「何故か公務員には適用されない謎」
「日本終了だな。今後は治安も悪化していくぞ。どんどん後進国になっていくな、この国は」
「残業で稼いでた奴が損するようになるんだろ?メシウマじゃん」
「年収1000万超えのマスコミ社員だけが悲鳴(笑)」
「公務員のカラ残業対策だろこれw」
「残業で仕事してますアピールする奴が一番ウザい。早く帰れ」
「定時で帰れ。組合が頑張って全員帰らせろ」
「安倍ちゃんGJ 」
「何故か公務員には適用されない謎」
「日本終了だな。今後は治安も悪化していくぞ。どんどん後進国になっていくな、この国は」
16年にサラリーマンの残業代がゼロになる 危険な残業代ゼロ制度で年収大幅ダウン http://t.co/clafKFvtTX
この春社会人になった方も既にご存知の方もめんどくさいけど一度は読んどいた方がいいと思うよ
ややこしく書いてあるが要は残業代払わんけど残業してねってこと
— AME (@ametskk) 2015, 4月 8
~欧米と逆行 公務員は適用外「残業代ゼロ」のマヤカシ~http://t.co/hUQ4td7eRj 「6日国会で民主党の山井和則議員が「残業代ゼロは公務員も対象なのか」と質問したら、「原則として公務員は対象ではない」と内閣官房が明言したのだ」
逆に適用は公務員だけにしたらどうか。
— 三宅雪子 (@miyake_yukiko35) 2014, 6月 8
こんなの1年もしないうちに年収300万円くらいまで下げられるんじゃないの。 || 「残業代ゼロ」法案を閣議決定 裁量労働制も拡大(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース http://t.co/y0khL42AQC
— ラミ犬 Lamiken (チェルシーズ) (@lamikennel) 2015, 4月 3
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